67年間多くの人たちに愛されながらも、昨年、惜しまれながら閉館した「大衆演劇場ヤングセンター」。
その温泉にあった13枚のステンドグラスを大分の様々な場所に設置しようというプロジェクト、その名も「ヤングセンターステンドグラス補完計画」の実行委員長である写真家「東京神父(とうきょうしんぷ)」さんにお話をうかがいました。
東京から別府に帰って
出身は別府の田の湯です。高校卒業後、東京に出ました。ですから別府20年、東京20年という感じです。
現在は、東京で仕事をしつつ、別府でのプロジェクトを立ち上げてその期間はこっちに帰って、いわゆる「二拠点生活」という感じです。
別府に住んでいると温泉が生活の一部になっているので、通う温泉って限られてくるんです。
久しぶりに別府に帰ってきて、いろんな温泉に入ってみたいと思って、別府八湯温泉道に挑戦してみました。
当時、ヤングセンターの温泉って観劇した人しか入れなかったのですが、温泉だけ入れるという時期にたまたま訪問しました。
ヤングセンターステンドグラス補完計画へ
誰も入浴していなかったのですが、午前中ということもあり、ステンドグラスを通して光がはいり、湯気の中で水面が色とりどりに染め上げられて、
「これはヤバイ!」
と感じました。
当時の様子は「ヤングセンターステンドグラス補完計画」のホームページで見ることができるそうです。
その後、ヤングセンターが閉館するということで、なんとかステンドグラスだけは残したいと回収して、設置してくれる場所を探しました。
みなさん手弁当で回収や設置を行ってもらっていますが、さらなる設置場所と13枚のステンドグラスを回遊できるサイトを運営するため、4月20日から期間限定でクラウドファンディングを行います。
リターンとして、協力してくれるアーティストさんの作品やスポンサー枠を用意していますので、ぜひ、プロジェクトのページを覗いてみてください。
故郷別府の魅力
主に東京で活動して家族も東京にいますが、別府でのプロジェクトを行うために通うようになって、別府で出会う人が魅力的だと感じるようになりました。
今回の「ヤングセンターステンドグラス補完計画」の実行委員は、19歳から50歳と年齢も様々で、出身地も京都や名古屋で、別府出身者は2名です。
別府の土地柄が関係していると思うのですが、他所からくる人をもてなすことや知らない同士でも裸で付き合う公衆浴場の文化の土壌があります。
今回のプロジェクトは、「文化財を残す」という真面目な側面はありますが、一番は、ただ面白いから参加してみようということが関係者の原動力になっています。
湯治の歴史がある街、鉄輪温泉の中心にヤングセンターがあり、長く愛されたということも大きいと思います。土地やコミュニティーに対する「愛」が今回の活動につながっています。
2022年12月に鉄輪温泉にオープンする「地獄温泉ミュージアム」にもステンドグラスが展示予定とのこと。乞うご期待。
取材を終えて
自治体などの行政が推進する町おこしや観光振興と異なり、東京神父さんの活動は純粋に愛着のある「もの」や「歴史」を守りたいという動機から始まっています。だから多くの人たちが参加して楽しむことができるのだと感じました。
インタビューの中で東京神父さんが・・・
アーティストはどうしても自分の納得がいくまでやりたいと考えてしまいがちですが、プロジェクトを動かしていると人に託さなくてはならない部分が増えてきます。
そこをまかせられるようになったのは、別府で今までやってきた企画の経験がいきていると思います。毎回いつも実行委員のみんなに助けられていて、頭が上がらないです。
と語っておられました。
ゆったりつかれる温泉のような別府の懐の深さが、雑多な個性を包み込んでプロジェクトを成立させているのだと感じました。
ステンドグラスを見に行く
別府市内にある2ヶ所のステンドグラスを見に行きました。
山田別荘
山田別荘の女性風呂に設置されている一枚です。場所的に時間を選びますが、取材時は快く見せていただきました。
旅館自体も歴史と趣のある建物ですので、こちらも楽しめます。日帰り入浴も可能とのことでした。
『ヤングセンターステンドグラス補完計画』とは
67年間の長きにわたり、大分県別府市の鉄輪(かんなわ)で親しまれた大衆演劇場ヤングセンター。
2020年に残念ながら閉館してしまいましたが、その記憶を残すべく、同施設の温泉にあった13枚のステンドグラスを回収しました。
今後、大分の様々な場所に設置し、回遊出来るWEBサイトを立ち上げます。
2022年4月20日からは解体・運搬・設置・ウェブ制作費などを集めるクラウドファンディングにも挑戦します。
クラウドファンディングについて
ステンドグラス既設置済みの場所
- 別府鉄輪 ひろみや – Hiromiya Toji Stay
- 別府北浜 山田別荘
- 湯布院 貸切り風呂と離れがあるお宿 和モダンな温泉旅館 湯布院らんぷの宿yufuin lamp no yado
- 豊後大野 稲積水中鍾乳洞
リターン参加アーティスト
- かおなしまちす 齋藤 由依
- ジュンユウ
- トントントンツーツー 首藤 渉
- 吉松 ちぐさ
- Makey Art
- ユキハシ トモヒコ
- Nana 吉田 奈々
- 東京 神父
想いを届けるリアルイベントも開催します
おまけ
この記事を書いたライター
ライターの「かなやどうはん」です。大分県の見どころやイベント、その他どうでもいいことをこちらで書かせてもらうことになりました。よろしくお願いします。
昭和38年(1963年)生まれ
元刑務官・法務教官/元絵本屋
はなぶえ奏者/専業主夫/保護司/ライター
フリースクール「みんなの教室」スタッフ
自己紹介記事はこちら> どうはんさんのはなうた人生
noteはこちら> https://note.com/kanaya_douhan/
日刊ゲンダイの紹介記事> https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307755
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